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中食・外食のアレルギー表示、検討過程を注視しよう 赤城智美

2013.09.05
消費者リポート(発行:NPO法人日本消費者連盟)1541号2013年9月7日掲載
消費者リポート1541号2013年09月07日表紙.jpg

「食品表示法」が6月に参院本会議で可決され、2年以内に施行されることになりました。消費者庁が示している「食品表示一元化法に関する当面のスケジュール(イメージ)」を見ると、今後の検討課題として、○中食・外食(アレルギー表示)、インターネット販売の扱い、○遺伝子組み換え表示添加物表示の取り扱い、○加工食品の原料原産地表示の取り扱いの3点をあげています。それぞれの課題の検討方法については作業内容が示されており、中食・外食(アレルギー表示)については実態調査、事業者ヒアリングの実施等を行ない、新たな検討の場での検討を行なうとしています。

加工食品のアレルギー表示で見えてきた課題

2001年の加工食品のアレルギー表示義務化以降、私どもは多くの流通企業や食品企業と対話を重ね、アレルギー表示に関連した食品回収情報のデータベース化と回収情報の配信を行ってきました。2012年の月平均回収事故数は10件(年間100件以上)に上ります。加工食品における回収事故内容を精査すると、企業の認識不足やうっかりミスがめだちます。引き起こされる出来事は、アレルゲンの成分検出や表示貼り間違えなどですが、企業はその結果を受けて、膨大な費用を費やし商品を回収することになります。課題として浮かび上がるのは、企業自体が表示について学ぶ場をあまり多くもっていないこと、社員教育に人員や費用を多く割けない中小企業にとって結果的にリスクが高くなっていることです。

中食・外食の表示はどうしたら実施できる?

中食・外食のアレルギー表示が検討されることは、患者にとって喜ばしいことかもしれませんが、容器包装された職人でさえ課題を抱えたまま法律が運用されている現状では、むしろ危機感を感じます。

中食・外食はその場で食べる事が前提ですから、表示を間違えたら「回収する」という訳にはいきません。加工品は原材料や製造工程の管理と表示に関する精査を行うことで、ある程度の安全管理を達成できますが、中食・外食においては、一つの調理場で複数の種類のメニューを調理することが想定されるので、調理や配膳中のアレルゲン混入を防ぐには「最近管理」と同等の知識と技術を要求されることになると思います。

冷凍食品やレトルトを温めるだけの外食産業においてさえその管理技術は要求されることになるのですが、アルバイトやパート労働者に支えられた業態において、そういったことが実現できるのかどうか危惧せざるを得ません。また、そういった現場を監視する法律の執行体制はどのように整えていくのでしょうか。消費者庁の「当面のスケジュール」ではそのことが言及されていません。新法を拙速な動きととらえ、皆さんと共に注視し続けなければなりません。

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