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チーム対応の体制整備と訓練を ~学校給食の食物アレルギー事故から学ぶこと

2014.03.06
消費者リポート(発行:NPO法人日本消費者連盟)1529号2013年3月7日掲載
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2012年12月、東京・調布市の小学校で、アレルギーのある女子児童が誤ってチーズ入りの給食を食べた後に亡くなるという痛ましい事故が起きました。こうした事故を繰り返さないために、必要なことを考え続けています。

記者発表されていること

12時50分、児童がおかわりの「じゃがいもチヂミ」を食べた。13時25分、担任に気持ちが悪いと告げた。13時36分、校長が緊急処置用注射薬エピペンを打った。13時40分、救急車が到着した。

学校は児童の乳アレルギーを把握し、月1回翌月の献立について担任・調理員・保護者で話し合っていた。その際、配布の献立表より詳しく原材料や使用量が書かれている「調理室手配表」を見ながら打ち合わせ。家庭では献立表を書き写した独自の表を作成し、食べられないものにマーカーを引いて子どもに渡していた。献立表は1日ごとにメニュー欄と原材料をまとめて書く欄があり、各々の献立ごとに材料がわかるような書き方をしていなかった。担任もチェック表を持っていたが、今回の「じゃがいもチヂミ」がチーズ入りだと気付いていなかった。家庭でもマーカーを引き忘れていた。

配膳は、食べられない食品がある日は、除去食をお盆に乗せ、調理員が児童本人に直接渡していた。

危機管理の発想の見直しを

事故の報に接した時、最初に感じたのは「危機管理の概念」が学校にもう少しあったら、この事故は防げたのではないかということです。以下に挙げてみます。

  • 乳アレルギーを意識して危機回避するなら、注意喚起のため献立名「じゃがいもチヂミ」には「チーズ入り」の表記を加える。
  • チヂミには粉チーズ2gが入っていたが、アレルゲンに詳しい医師は「粉チーズに使われるパルメザンチーズのアレルゲンタンパク含有量は牛乳の約13倍で、乳以上に危険という認識をもったほうがいい」と指摘している。家庭も学校も、このことを知らなかったのではないかという懸念が残る。
  • 家庭でのマーカー付け忘れや、担任がチェック表を見ずにおかわりがほしいという児童の声に応えてしまったことも悔いが残るが、調理員から児童にお盆を渡す際、「チヂミにはチーズが入っているけれど、あなたのはチーズを除去しています」という声があったらよかった。
  • 家庭や担任が持つチェック表などは、書き写しミスをさけるためにも独自に作成せず、「調理室手配表」をコピーし必要ヶ所にマーカーを引くほうが安全である。

給食室では日頃から「アレルゲンコントロール」を意識して混入がないよう手順を考え、児童ごとのアレルゲンを壁に張り出して注意していたことと思います。その緊張感を養護教諭や担任、栄養士などが共有するためには、日頃から「危機管理のための手順」を確認しておく必要があります。危機管理のための打ち合わせや確認をすることと、関わる人がすべて「気をつけなくてはいけない」と思うことは根本的に違います。

緊急時対処の訓練を

児童が「気持ち悪い」と担任に伝えるまで、喫食から35分かかっています。児童はそれ以前から息苦しかったらしく気管支拡張用の吸入器を使っています。喘息のある子で、息苦しいと感じたとき自分で対処するくせがついている場合、まわりの人にわざわざ伝えないことがよくあります。さらに、食物アレルギーで喘息の既往のある子でも、「今息苦しいのは喘息のせい」「これは誤食のせい」などと、区別をつけることはできません。

それでも緊急時に備えるためには、「食後に体調が変わったら、すぐに担任に伝える」と、児童本人に働きかけるしか方法はないと思います。そして、担任にも「食後に苦しくなったときは先生に言うように子どもにも話しているので協力してほしい」と話しておく必要があります。

万が一誤食したときは、1.症状のある子から目を離さない、2.エピペンは、教職員による注射が認められているが、打つタイミングの見きわめは難しいので、体調変化の時点でいち早く主治医に連絡して判断を仰ぐ、3.同時に救急車手配と保護者への連絡をする、の3つを即座に実行しなければなりません。一人の人がこれをするのは無理ですから、担任以外にすぐ動ける大人が複数いられるように、また主治医の携帯番号を担任がいつも傾向するなど、日頃から体制をつくり訓練をしておくことが大切です。

近年は学校でも「エピペン講習会」が実施されるようになりました。それに加え、1.誤食時点から45分以内に医師の治療がスタートすることを目標に、2.「学校ごとのシミュレーション」が重要であることを多くの人に知ってほしいと思います。

(アトピッ子地球の子ネットワーク 事務局長 赤城智美)

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